不動産価格がどこまで下がるのか大いに気になるところだが、すでにエストニアの不動産価格は最も高値を付けた2007年から実に60%も値下がりしているらしい。
全ての物件がこの水準まで値下がりしているわけではないだろうが、軒並み半額近くにまで下がっているということは確かなようだ。
一部の業者は、この不景気の最中でも価格は値上がりしていると強がっているようだが、取引件数の急激な減少をみても、どう考えても値下がりは想像を超えている。
ただし、流石に価格が60%も値下がれば、もうそろそろ底値に近づいているとみてもおかしくはなく、時期に不動産価格は底値を付けるかもしれない。
実際、これ以上下がるとすれば、あとどれほどの下げ幅が残されているのだろうか?
既にEU加盟頃の不動産価格にきわめて近づいているわけで、報道では2005年あたりの水準に今あるらしい。
業界的には、もう底値だと宣伝することで早々にこの不動産バブル崩壊の谷底から這い上がってきたいと考えるのは当然で、ただ問題とされているのは、この谷底からの復活までどれほどの余力が業界に残されているかなどと考えられる。
不動産価格の暴落で購入希望者は消失し、購入希望者だった彼等はいつしかレンタルに足を向かわせる。
つまり、普通ならこれで賃貸市場が活況となると言いたいところだが、実態は売買の方と同じく、こちらも芳しくない。
同様に今回欧米の諸国では不動産バブルの崩壊が大きく各国の経済余力を消失させてしまったが、バルト3国とは違い不動産価格の暴落で賃貸が注目されるようになっている。
これらの諸国とエストニアと何が違うのだろう?
一言で片付ければ、これらの諸国には自国民以外にも海外からの多くのビジネスマンやその家族、駐在と言われる人たちが多数いる。そして移民も相当数存在している。彼らがもたらす経済効果は想像を大きく上回るものである。
エストニアに限らず、バルト3国はほとんどそういった人達が存在しない。
賃貸に出してもそれを借りられる人はほとんどいない。
少し前なら賃貸で来た人たちも今では親たちと同居だし、経済力があった人達の多くはローンを組んでマイホームを高値掴みしてしまった。
要は、もうここにはほんの一握りの人を除いて、財力に余裕のある世帯はいなくなってしまったのだろう。
乱財していたころとは明らかに状況は違っている。
もう銀行は住宅ローンを容易には組んでくれないし、あまり表沙汰にはなっていないけど、融資を一時的に停止させているような銀行まで出てきているとも聞く。
それに法人に対しては、貸し剥がしを始めたとも聞いている。
業界の人達は、賃貸市場の下落は供給過多が一番の理由だというが、本当にそれが問題なのか?
供給以前にそれを借りる人のパイがどれほどあって、そしてどれほどの供給過多が生じているのかが問題なのではないだろうか?
好景気に沸いた頃に建てられた物件の多くが高値で売られてきた。ローンも高額でそれを返す為には家賃もそれほど下げられない。高級化した家を高額な家賃で借りられるのはやはり外国人しかいない。
この状況を打破するにはやっぱり、企業誘致と外人誘致しか手はないだろう。
でも、まだまだ外人に排他的側面を拭い切れないこの国では、外人さん誘致にもと積極的になってもいいのではないだろうか。