破綻したラトビアのパレックスバンクの最終的な譲渡先がこのところちょくちょくメディアに上っている。最大の候補者としては、EBRD(欧州復興開発銀行)が候補の筆頭らしい。
既にIMFからの資金援助が受けられることになったラトビア政府には、正直、あまり権限が無いようで、譲渡先を決められるのはラトビアへお金を貸すIMFあたりにその権限があるようだ。
一旦国有化した同行をどこかどのように立て直すのかが譲渡の条件になるらしく、もしEBRDに決まれば、EBRDはパレックスに資本注入することになる。
そしてEBRDだけではなく、欧米の金融機関も一定の興味は示しているらしい。
パレックスのNils Melngailis新頭取がいくつかの欧米の金融機関が同行についての情報を求める問合せが来ていると示唆している。パレックスバンクの企業価値は、既に大きく減滅しており、今の価値は2ラッツ(約344円)から6億ユーロ(約732億円)あたりだと同頭取が試算している。
2ラッツは、ラトビア政府が同行株の過半数を買い取った際の金額だ。これだけラトビア経済が衰退してしまうと、実際の所、事業価値を試算するのは確かに難しい。
そんな中、少数株主にあたるスウェーデンのHandelsbankenが保有株をラトビア政府に売却したと発表した。
ラトビア政府は破綻したパレックスの一時的な受け皿となったMortgage and Land Bank (Latvijas Hipoteku un zemes banka)にHandelsbankenとの間でパレックス株の株式売買契約に署名することを支持したという。
この取引はHandelsbankenから提案されたといい、それも売却額は、たったの1ユーロセント(約1.22円)だという。Handelsbankenが保有していたパレックス株は20万株で、総数の0.3%に過ぎない。依然、計約60人もの少数株主がいるが、全てを合せても約15%程度の株式比率にしか過ぎない。
これらの少数株主からは、株式売却の意思は示されていないといい、パレックス復活後の株式価値の回復を待つという戦略のようだ。
確かにラトビア系の銀行としては最大のシェアを誇った同行である、認知度も含め、企業価値とすれば、復活できればそれ程損がでることはないのかもしれない。
パレックスの大株主であったValerijs Kargins氏とViktors Krasovickis氏の2人からは発行株式85%全てをラトビア政府が買い取ることで合意しているという。
そしてその両氏であるが、自身や家族親族を含め、パレックスに約6300万ラッツ(約108億3600万円)の預貯金を預けていたらしい。
破綻したパレックスではあるが、元オーナーが今でも同行最大の顧客の1人であるといい、将来的な復活を期待して、そのまま預貯金は預け続けるとKargins氏はパレックスの復活に賭けていると述べている。
因みに彼等が預けている預金には9.85%の預金金利がついている。依然、これだけの大金を所有している訳で、株を2ラッツで売ったことで損したかもしれないが、やはり、ラトビア一のセレブであることに違いは無く、10%近い預金金利も約束されていることからも、損して得取れ的な話なのかもしれない。
『地場系最大手銀行破綻劇!』迫り来る経済危機?!(ラトビア)