今週は週刊バルトジャーナルの発刊がないのでこちらのブログコーナーに特集的記事を載せてみます。
今週に入ってラトビアではIMFからの融資を模索しているとの噂が伝えられています。
実際、Atis Slakteris財務相は早々にIMFとの間で経済安定に向けて融資の可能性について協議に入ったと11月20に発表している。
Ivars Godmanis首相は一体幾らの援助をラトビアが必要となるのかは分らないとしながらも、金額についてはこの協議の結果次第だと述べている。
これまでに欧州圏ではアイスランド、ハンガリー、ウクライナ、セルビアがIMFと欧州委員会に援助を求めている。
ラトビアとしては、まだ融資の段階にはないという姿勢を貫いてはいるが、実際に融資の必要が出来た場合、どういった形でIMFや欧州委員会から融資を得られるのかの調査に着手したという段階だ。
もし融資を申請した場合は、メリットは借入コストが低いことと融資期間が他のどの融資と比較しても長期に借りられることになる点だ。
ただし、受けた融資はその使途に制限があり、その点を無視することは出来ない。
IMF、世界銀行、欧州委員会それぞれ加盟諸国に融資を行うことは可能だが、それには大抵条件が付与されていて、政府支出の制限や構造改革、経済の競争力強化などの厳しい条件を受け入れなければならない。
今の所、実際に融資を申し込む場合、一体幾ら借りられるかは定かではないが、借入額を試算するには3〜4週間は必要だという。
とは言いながらも、概算では少なくとも5億ユーロは借り入れる必要があるというのが大方の見方となっている。
Valdis Dombrovskis前財務相の話では、5億ユーロあれば、何とかこの金融危機を乗り越えられるのではという。
これまでに既にIMFとの協議のテーブルについているラトビアとしては、他の諸国が協議のテーブルに付いた後、ほぼ全てで融資の話が具体化していることからみても、援助を求めることは明らかだと見ていいだろう。
ただ、今でもラトビア中央銀行からはこの収支バランス下であれば国際機関に何ら融資を求める必要はないと財務省に伝えている。
そしてこの『ラトビア、IMFに融資要請か?』の報を受けてエストニアでももしかしたらラトビアに引っ張られるように融資を必要となるかもといった報道がなされている。
Even Veiko Tali財務省秘書官がもしこのまま金融危機が継続していくのであれば、エストニアとしてもラトビア同様に国際機関から融資を求めることを模索する可能性はあるという言葉を残している。
エストニアとしては、財政収支もラトビアとは違って安定しており、今直ぐどうのこうといった状況にはない。
がしかし、だからといって今後も何の問題もないとは言いがたいというのが同秘書官の言葉だ!
もしかしたら最悪、IMFや世銀、欧州中央銀行などから融資を求めることもあるというのが同秘書官の言葉の裏返しなのかもしれない。
ところで、このIMFに融資申請かという報道で、通貨ラッツも最悪、切下げも有り得るのではとの声が次第に広がりを見せている。
Kauppalehtiによると、通貨の切下げはクリスマス前か今後1〜2ヶ月以内に2割から3割の切下げ幅で有り得ると議論されているという。
ラッツの置かれている状況は、エストニア・クローンやリトアニア・リタスよりも悪く、議論の主題に置かれても仕方ない状況だ!
ただし、だからといって直ぐにでも切下げはあるのかというと今のこの状況ではその判断は難しいだろう。
実際、危惧はしてもバルト3国、もちろんラトビアの金融市場を牛耳っているのは北欧の金融機関で、彼等が巨大な損失計上を行うことを決めない限り、当分はこのままの状況が続くのではないだろうか。
ラトビア中央銀行は先週1億8980万ラッツ(約319億円)の為替介入を行っており、06年以来では最高額の介入を行っている。
ラトビアの準備金は43億ユーロ(約5120億円)あるので当分はなんとかやっていけるだろう。
ただ、いつまでもこの準備金が続くわけでもないのでそれを前に今回IMFとの協議の場を持ったというのが本心だろう。
因みにラッツの通貨切下げ論を大学の講義で議論した大学教授がラトビア公安に逮捕されている。
通貨切下げの噂を広げたという罪状なんだそうだ。
同教授は、実際、そういったつもりは全くなく、ただ講義の議題にしただけだと無罪を主張している。正直、行き過ぎた取締りだと思うのだが、言論の自由がラトビアでは低いと解釈すべきことなのだろうか?!