地元紙Dienas Biznessと情報データ会社Lursoftが景気後退期にはあるが、外国人投資家が多額の不動産投資を続けていると報じている。
と言っても、不動産投資といっても実物への投資ではなく、不動産会社への資本注入のようだが。
今、ラトビアの不動産市場は明らかに静まり返ってしまっている。
価格の下落率は世界No.1という不名誉なものとなっており、誰がそんな市場に不動産投資を積極展開するのかといった話を良く聞かれる。
思惑が交錯する状況だが、近く価格が反転すると予測する投資家は、物件そのものへ投資するのではなく、その物件を所有する会社本体へ投資することでそのリスクを減らそうとしている。
今年、最大の投資を行ったのは北欧からの投資家で、スウェーデンのSPP Livforsakring ABという会社とノルウェーのStorebrand
Livsforsikring Asの両社がそれぞれ1323万ラッツ(約29億1000万円)を投資し、森林及び農業地を広く管理所有するForan Real Estateを買収した。
これまでにStorebrand Livsforsikring Asは2427万ラッツ(約53億4000万円)を投資しており、ラトビアへ投資する外国企業の投資額ランキングでは、第15位とラトビアへの投資を積極的に展開している。
同じくスウェーデンのBergvik Skog ABという会社では、Foran同様の事業を展開するFraxinusに252万ラッツ(約5億5440万円)を投資し、景気後退による不動産価格の下落に乗じて企業価値が低下した企業への資本参加を行っている。
投資総額第8位のイギリス企業New Europe Real Estate Ltdもこれまでに3760万ラッツ(約82億7200万円)を投資している。今年だけでも1590万ラッツ(約35億円)の増資を行っており、ラトビアへ積極的に参入していることが分る。
ここで挙げた4社の共通点は、皆、十分なキャッシュを保有しており、金融機関からの借入を必要としていないことだ!
現金不足や借入が出来ない企業が多い今、価格下落でお買い得になった不動産を買い漁る企業が増えてくるのも当然かもしれない。
一方でラトビア不動産は世界一下落率が高く、投資家の牌そのものが激減していることで投資した物件が売却できず、出口戦略が立てられない投資家急増している。
国内の不動産人気も住宅ローンの取得が困難となったことから一気に冷めてしまい、同じく景気減速感から海外からの投資家が激減したことが不動産市場を急速に冷却させてしまった。
二桁の好景気に沸いたラトビアも一時はバルトのユートピアとの異名をとったが、既にその面影も消え去ってしまった。
世界的な信用収縮により、銀行は住宅ローン融資の締め付けに着手してしまった。
銀行収益を支える為にも銀行は金利マージンをより高くしていることからも消費者の負担は高まり、融資を例え受けられてもその負担そのものが重くなり、結果、住宅購入を諦める市民を増やす結果を導いてしまった。
ユーロ金利の上昇と賃貸市場の低迷もあり、投資物件は期待したような利回りを得られるような状況ではなくなっている。
ブームに乗ってマンションを購入した投資家の大半が、家賃収入では銀行ローンを払いきれず、毎月の様に持ち出しをせざる得ない状況に陥っている。
ここまで読めば、恐らく想像つくと思うが、今、ラトビアへ投資することは渦中の栗を拾うことになるかもしれない。
特にそれがマンションなどの住宅であれば正に火中の栗という言葉が一番似合うのかもしれない。
期待感を強いて書けば、ラトビア人人口の23%が20歳から34歳で、彼等が住宅購入を必要とすれば不動産市場の活性化が期待されるが、もしそれを期待するのであれば、更なる価格の下落がないと今の箆棒に高いマンションには誰も手を出さないだろう。
まだまだ住宅価格は更に下落すると思われる今、海外からの投資家は住宅ではなく、ほか欧州と比較して依然割安な農地や森林への投資に人気が集中している。