タリンには90店を超えるカジノが乱立している。
人口が40万人と少ししかいない都市にこれ程のカジノが乱立しているのが世界を見渡してもラスベガスとマカオ位のものである。
流石に欧州には見当たらず、店舗数の密集率だけの比較であれば明らかにタリンはカジノ天国といっても過言ではないだろう。
特にタリンは、欧州からはポーカー天国とも呼ばれるほど人気を博している。
しかし、カジノには闇の部分とも言えるカジノ中毒という負の一面を持っている。
実際、カジノに興じ過ぎて借金が嵩みすぎて自殺してしまう人が後を絶たない。
去年にはギャンブルの借金に耐え切れず、妻、子供を道連れに自殺してしまった人もいる。
これらの中毒者急増を背景にカジノを規制しようとする声が日増しに高まっているのも致し方ないことなのかもしれない。
タリンは、ポーカー天国としてモンテカルロ、ロンドン、ダブリンと並ぶポーカーのメッカとなっている。
エストニアがカジノを奨励し始めたのは90年代早々に(独立から間もなく)政府はカジノへの課税を定め、94年には240万ドルのギャンブル税を徴収することに成功している。
それが去年には4230万ドルにまで増加し、エストニア政府としてもカジノは経済を支える貴重な収入源となっている。
政府としては貴重な収益源でもあるカジノだが、2004年調査ではタリン市だけでも9000人のギャンブル中毒者がおり、これが周辺を含めると1万3000人もの中毒者がいることが分っている。
実際に、この中毒者数は2006年度調査では1万6000人にまで増加しており、増加傾向は一向に留まりそうにもない。
中毒者の急増を踏まえ、タリン市ではカジノを淘汰せざる得ないとの意見が大勢で、特に学校施設に隣接するカジノは閉鎖、住宅地内に開設されたカジノは営業時間を規制するなどして何とかカジノを規制したいと考えている。
2009年1月施行の規制の中にはスロットマシーンが40台以下の店舗は全て閉鎖とするといったものまで含まれている。
更なる厳しいカジノ規制を何としても導入したい考えている政治家や市民等は、カジノを市内から追い出し、カジノ島なるカジノ地域を作ること等で市民の足を何とかカジノから遠ざけたいと規制運動を強化している。