2010年5月12日、欧州連合の欧州委員会がエストニアのユーロ導入を承認した。長年の夢が来年、1月1日に叶うことになる。ユーロへの期待は2004年5月1日のEU加盟からの念願で
、EU加盟後から経済の絶好調期、2007年8月まではいつでも導入が果たせるかのように見えたものだった。
しかし、経済が絶好調となったことで、物価はウナギ登り、すでに経済が成長済みで安定衰退期に入っているほかのユーロ諸国から突き付けられた導入条件では急成長するバルト経済はそれに合わ
せることはとても至難なこととなってしまった。
特にリトアニアはユーロ導入を寸でのところまで頑張ったが、インフレ率がほんの少し叶わなかっただけで導入を蹴られてしまった。導入基準があまりにも厳格過ぎたことに不満は一気に高まった
ものだった。
あれからユーロ導入はバルト3国からは遠のき、東欧のスロバキアやスロベニアに先を越され、経済危機は深刻さを増し、いつ順番が回って来るかと思われた。
エストニアは、この金融危機、経済危機、不景気の最中でも財政支出を極限にまで減らし、導入基準をすべてクリアすることに成功した。物価は下がり、インフレ率も全く問題ないというか、デフ
レを経験するまで落ち込み、支出カットで学校、病院、そして市民にその負担を課してまでしてとうとう辿り着けることに成功した。
ラトビア、リトアニアでは、ユーロは2014年に導入したいという目標を立てている。リトアニアはクリアできそうだが、ラトビアに限ってはこの目標はまだまだ流動的だろう。
ところで、ユーロ導入国は今回のギリシャの財政危機で負担を強いられる。当然、今回の負担にはエストニアはユーロ導入国としての義務は要求されない。しかし、IMFが負担する額に対しては負担義務がある。もちろん日本も負担する。
エストニアの負担分は15億クローン。日本円で120億円程度となるが、自国の財政を必死に緊縮してきた身としてはかなり重い負担だろう。
とはいえ、もし既にユーロを導入していたとすれば、その負担額はエストニアにとっては明らかに天文学的な数字となったことに違いない。
この負担分とEMFの負担分(支出分)についての詳細は、またの次回に紹介します!