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トップ > 週刊バルトジャーナル109号から
東方拡大する不動産バブル崩壊懸念〜ウクライナ/キエフから〜

 

今、最も不動産投資スポットとしてウクライナのキエフが注目を浴びている。

EUの東方拡大と共にイギリスやアイルランド、イタリアなどの個人投資家がプラハ、ワルシャワ、タリン、リガ、ヴィルニスに続き、ブルガリア、ルーマニアなどの首都及びリゾート地の不動産へ投資することがこの何年かの流行となっていた。

しかし最も不動産投資の最先端を行く投資家の多くは、実はもっと東方の諸国の不動産への投資を既に始めていた。

より投資リターン効果を高める為、投資家の多くがブルガリアやルーマニアなどより東方にあたるウクライナの首都キエフに投資を始めている。

メディアで注目を浴びることなく不動産投資がブーム化したキエフの不動産市場は、実は既に東欧各国の首都の中でも最も高価な価格で取引されている。投機マネーが流入した事もあってキエフの不動産市場は、06年11月12月の2ヶ月間で10〜25%の値上がりが記録された。

この所の建築ラッシュを背景に、旧ソ連式の建築物で覆われた街並みも徐々に新築マンションの真新しい光景に取って代わろうとしている。

高級マンションの一つは、市内を見下ろす高台に建設され、敷地内にはプールやスパ、そして地下に駐車場などを整備している。流石に高台にあるだけあって最高の景色である。

ロケーション最高の同物件は、3ベッドルームで約100万ドルで売りに出されている。つまり、1億円強の値札が付いていることになる。

因みにこの手の物件は、この2年でほぼ3倍の値上がりとなっている。平均住宅価格は既にアムステルダムなどの西欧都市を上回っており、この所の値上がりで、極端な高騰が襲っている。

キエフでは、急激な不動産ブームで、3年前に売られていたマンションの販売価格は、当時3万ドルであった物が今では20万ドルにもなっている。賃金上昇や経済復活などから需要は盛んで、一方の供給が不足する自体が続いていることも価格上昇圧力を高める原因となっている。

最近は、多くの市民が旧ソ連式の古い住宅からより生活環境の整った物件へ居を移すことを望んでいる。それに過去の経験や文化的にウクライナ市民は銀行に対する信用がなく、銀行貯金より、資金があれば住宅に投資するというのが今の不動産ブームに油を注ぐ格好となっている。

そして何よりもこの所の好景気から続々と生まれる新たな高額所得者層の出現が不動産市場に大きく影響を及ぼしている。彼らは高利回りの投資先を求めており、彼らの資金は、その投資先として高級マンションなどの高付加価値物件に流れている。

しかしながら、今の懸念材料は、これらの資金は投機資金とも見られ、不動産ブームがいつ崩壊してもおかしくない状態にあることも確かである。

ウクライナ政府もバブル崩壊を危惧して、国内外の個人の外貨規制を仄めかし始めている。

不動産を購入した投資家の多くは外国人か国内の高額所得者に限られ、その物件も内装もなく空のままの状態で放置されているのが実状だ。

毎週の様に不動産価格は高騰しており、まともな物件は最低50万ドルからでしか探せないといった状況になっている。最も高いものでは1平方メートル2万5000ドルを付けており、大き目の物件では750万ドルの値札を付け、売買されている。

市民の手から離れてしまった不動産市場だが、ウクライナ自体はヨーロッパの中でも依然、貧国の一つであることは間違いない。市民の大半は今も旧ソ連式の住居に済んでいる。

それが現在のウクライナである。

実際にキエフで1ベッドルームの最も安い物件を探すと、10万ドルの価格が付けられている。月給約200ドルといった大半の市民がこれ程までに高騰した不動産をどうやって購入すればいいのだろうか。

投機資金で湧くキエフの不動産市況は平均給与からかけ離れた市民生活を見下ろすように日々値上がりを続けている。この実態は、いつ不動産バブルが崩壊しても何の違和感もない天井値まで上り詰めていることを危惧させる。

先週特集したエストニアの不動産バブル崩壊懸念に続き、ウクライナの不動産バブル崩壊は、想像よりももっと早くやってくるのかもしれない。


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