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07年1月1日からブルガリア、ルーマニアがEU加盟を果たすことが決まり、巨大化する欧州・中東欧に続き、巨大市場として台頭しつつあるロシア、GDP成長率が10%を上回るバルト3国、国営企業の民営化を急ぐCIS諸国といった地域の経済状況などの情報を配信しています。

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知られざるエストニアの優位性

欧州経済が東へ移行する中、多くの企業が生産拠点としての中東欧といったスタンスから同地域の市場にも注目するようになってきています。しかしながら、殆どの企業は、ものを作り、販売し、利益を得るというプロセスだけに注目しており、収益率の向上までは目が届いていないようです。この地域に進出する上で、見落とされがちな税制や民族性などを知る必要があります。

先ず、先にエストニアに早期から注目していた投資家の声をご紹介します。

・テンプルトンアセットマネージメント社CEOのマークモビアス氏は、「エストニアは繁栄の途上にあり、羽が生えて飛んでいきそうなくらい回復している」と評しています。

・米フォーブス誌は、「欧州各国は市場回復に迷いが見られたが、エストニアは若さと自由市場に勝るものは無いことを実証した」と絶賛。

・チューリッヒグループ主任アナリストのデイビッドヘイル氏は、「エストニアが今必要としているのは、地政学的な負の遺産(ロシアへの近接性)を引き受けて、資産に変えることである。この国は世界にとってロシアへの足掛かりとなる国である」と称えています。

エストニアの優位性とは:

1. 税制

これまでは、欧州で高税率な法人税を回避させると言えば、殆どの日本企業がオランダに中間法人を立て欧州での高率な法人税の回避に取り組んできましたが、多くの欧米企業は法人税率が低いアイルランドへ欧州本社を移動させてきました。アイルランドの法人税のメリットは、その税率の低さにあることは明白ですが、実はアイルランドよりいい条件を有している国があることはあまり知られていません。アイルランドの法人税は12.5%ですから、日本から見るとオフショア税制に引っかかってしまいます。
今年5月、EUに新規加盟したバルト3国の1国にエストニアという国があります。欧州各国が今、この国の税制について大きく揺れています。エストニアの法人税は、基本的には26%となっているため、この国は非低税率国というカテゴリーに入りますが、この国の税法では、企業の留保益や再投資からのキャピタルゲインに対しては課税されないことになっています。つまり、欧州でありながら、収益への課税が0%という税効果を得られることが出来ることになります。また、26%とされる法人税も2007年までに、毎年2%ずつ減税されることが決まっていることから、税率から見ると、この国は2007年以降、準低税率国家(準オフショア)というカテゴリーに落ち着くことになります。今、この優位性に気が付いた英国、フランス、ドイツなどの大企業がエストニアへ本社機能を移し始めていることはあまり知られていません。

*参考に各国の法人税は、ドイツ(38.3%)フランス(34.4%)マルタ(35%)ポーランド(19%)スロバキア(19%)ハンガリー(16%)アイルランド(12.5%)エストニア(26%もしくは0%)

2. バルト・トライアングル(タリン/ヘルシンキ/サンクトペデルブルク)

この4月からエストニアの首都タリン、フィンランドの首都ヘルシンキ、ロシアの第2の都市サンクトペデルブルクを結んだバルト・トライアングルが俄かに注目を浴び始めています。サンクトペデルブルクは皇帝時代のロシアの首都でした。今、この3地点を結ぶ商業、観光業が熱い注目を浴びています。エストニアの中世建築、ヘルシンキの近代建築、サンクトペデルブルクのバロック、クラシック建築といった全く違う建築模様を一度に回ることが出来る観光ツアーが欧州で人気になっています。また最近では、フィンランドのヘルシンキからエストニアの首都タリンまではフェリーで1時間半の距離である為、フィンランド人はタリンに住み、ヘルシンキの会社まで出社するビジネスマンまで出てきています。北欧と言いながら物価差が6分の1の国に住んだほうが経済合理性に叶うといったことが理由だそうです。

3. 好調な経済成長&安定性

バルト3国は、どの国を挙げても堅調な経済成長を続けています。好景気が続くとして世界中から投資が集まる中国のGDP成長率は、8〜10%と言われていますが、この地域では、7〜8%の成長を続けています。EU平均が2%前後ということからも経済の好調さが現れており、同様に北欧や中東欧が4%強前後の成長率であることからも、より注目されるべき地域であると言えます。また欧州は新規加盟した10カ国に対して色々な援助を継続していくことになっていることと、ロシアや北欧などの高成長を続ける国々が隣接していることから今後も安定した経済成長を続けていくものと考えられています。

4. コストの安さ

殆どの日系企業は、「人件費の安さ、税率の低さ、中東欧市場の拡大」と言った理由からEU諸国から中東欧へ事業を移動させ始めていますが、殆どの企業が人材管理という側面と言葉の問題で失敗しています。バルト3国はどの国をとっても中東欧の賃金所得と比較しても大差がない水準であり、インフラも整っています。エストニアはIT化を独立当初から推し進めてきており、ネット普及率はとても高く、政府関連の書類は全てネットから取得ができる電子政府化政策では世界3位であり、何処へ行っても、インターネットへ接続が可能です。国民もおおらかな性格をしており、一部では白い日本人と言われるほど真面目で勤勉で人懐っこい国民性です。

5. 言語&ロケーション

バルト3国の中でも、エストニアの国民の多くは英語を話すことができます。訛のあるものではなく、日本人が聞き取りやすい標準語英語です。彼らの母語はエストニア語ですが、他にフィンランド語、ロシア語なども操ることが出来ます。旧ソ連に占領されるまでは、西側文化を有していたエストニアは、資本主義に容易に対応し、EU新規加盟組みの中でも最も早く、加盟を許されました。実際の経済も北欧経済圏の影響が強く、8割方が、北欧とのビジネスです。北に北欧、西にロシア、南に中東欧といった複数の経済圏に隣接していることから、エストニアは北欧の香港化を念頭においた国作りを進めています。また、エストニアやフィンランドは、日本から欧州へ入る最も近距離にあるゲートウェイ的役割を担える国々です。


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