ELTAによると、大手銀行SEBは、今年いくら今後景気が悪化し融資が焦げ付いたとしてもバルト3国の現地法人へは一切増資を行う予定はないと発表したという。
低金利の融資が急拡大したことでバルト3国経済では急成長を記録し、融資が滞った途端、エストニア、ラトビア、リトアニアの3国は深いリセッションに突入してしまった。
同行のMartin Johanssonバルト3国事業部門代表は、リトアニアのAndrius Kubilius首相との会談の席で同行では返済が滞っている融資がかなりの規模に膨れ上がっていると認めている。
大統領からは、バルト国の現地法人へは増資を行う必要があるかと聞かれたといい、同代表は現状ではそれは必要なしとみていると答えたという。
英ロイターの調査では、SEBはこの第2四半期に収益は41%減少すると試算しており、バルト3国での損失が収益を圧迫する要因になっていると分析している。
エストニアの大都市とされる地域に建設された70%近い新築住宅が何の許認可も得られていなかったと経済ニュースBBNが伝えている。
無許可住宅への罰金として、家主は政府から最大で1万8000クローン(約15万1200円)の支払いが求められることになりかねないという。
タルトュ市では、無許可住宅を継続使用する場合は、売買契約書にその内容を明記するように求めており、無許可住宅の売買は新たな買い手を探すときには大きな問題になると見られている。
特に売買する場合や増築する場合などで無許可住宅は法的に大きな問題を抱えることになり、万が一、不動産開発業者が破綻などした場合は、何の保証も受けられないという結果になりかねないと司法省でも警告している。
米フォーブスによると、ラトビア政府は国家公務員の人数削減案を承認し、3割を超える人員削減を行うことになったという。
人員カットは中央省庁で2010年までに1145人が解雇され、 官庁数も73から36にまで縮小されることになる。
公務員数の削減は既に高い失業率を記録するラトビアにとってはかなり大きな影響を及ぼすものとみられ、今後は失業率がどこまで上昇するか分からない状況となっている。
経済ニュースBBNによると、不動産管理会社Re&Solutionのニュースレターの中でここ最近のオフィスの過剰供給に伴いオフィスの空室率はかなりの率にまで上昇し、大きな問題になっているという。
特にこの景気後退による影響も大きく、解雇などを誘発したことで人員減から更にオフィスを縮小する動きが顕著になっている。
好景気の間は、長期的な視点も相俟ってバルト3国ではオフィスビル建設が進んだが、完工を間もなく過剰供給となり、かなりの新築のオフィスビルが空室となっている。
実際に、この半年間にオフィス家賃は30%を超える下落をしており、下半期は安定するとみられるが、それでも家賃の値下げは止まらないという。
各国の首都のオフィスビルを見ると、タリンの空室率は14%に達し、同様にヴィルニスでは20%、リガでは15%とそれぞれ高い空室率となっている。
英ロイターによると、今年上半期のラトビアの銀行による損失総額が3億3530万ラッツ(約627億円)となったという。
昨年同期の銀行の収益は1億6660万ラッツ(約309.9憶円)の黒字を計上していた。
現在ラトビアには21行の銀行があり、シェアの過半数はSwedbank、SEB、Nordeaの3行で占められている。
銀行の損失拡大の背景は、融資の焦げ付き拡大が主要因で、経済危機による雇用不安もあって、更に融資が焦げ付くものと見られている。
これまでに既にSwedbankが第2四半期に12億5000万クローン(約150億円)の赤字を計上しており、第1四半期の33億6000万クローン(約403.2億円)に続いて、赤字が止まらない状態が続いている。