バルト3国最大の不動産会社Ober-Haurの調査によると、これまでバルト3国どの地域を見渡しても居住用物件への需要は高く、これまでの5年間に毎年15%強の上昇が続いてきた。
しかしながら、依然バルト諸国の不動産価格は、平均で西欧諸国の首都と比較すると25%以下に過ぎず、西欧水準に追い着くには、今後300〜500%の価格上昇が必要となる。
所得水準を踏まえると、毎年10%近いGDP成長率を続けるラトビアの人口一人当たりのGDPは昨年8249ユーロで、EU平均の39%に過ぎず、EU内で最も低い部類に分けられる。
エストニアでは、昨年度の賃金上昇率は10.9%に上り、購買力も急速に拡大している。所得増を踏まえ、多くの市民が新な住宅ローンや借り入れを増やしており、住宅市場にも影響を及ぼす形で不動産価格も上昇を続けている。
経済が急拡大するバルト3国ではあるが、西欧の水準に達するまで引き続き所得水準も不動産価格も上昇することになる。
不動産市場への懸念材料が深まる中、依然、不動産市場への投資機会は十分にあるという見通しを銀行アナリストが示唆している。
ハンサバンクの不動産市場アナリストMaris Lauri氏によると、不動産市場は今、最も加熱する投資チャンスを迎え、落ち着かせるには現状では不可能だと見られている。
同氏は、バブル化する不動産市場の将来的な崩壊懸念があるものの、まだまだ不動産価格の上昇は続くという見通しを立てている。
住宅需要は、既存の住宅では品質が悪かったり、平均敷地面積も非常に小さいなどといった不満要因などが多々あり、高品質な住宅への買い替え需要依然高い状態にある。
また、その他の需要増の背景には、市民の所得水準の拡大があり、多くが生活環境向上が最大の関心事になっている。
BSA及びIDCによる世界ソフトウェア侵害率調査によると、バルト3国のコピー率は減少傾向にあるが、依然高い水準に留まっている。
エストニアのコピー率は54%で、ラトビアとリトアニアは共に57%の水準となっている。3カ国とも04年度調査からはそれぞれ1%の改善となった。
中東欧では、ポーランドのコピー率は58%で、スロベニア50%、ハンガリー42%となっており、07年度にEU加盟を求めるブルガリアやルーマニアでは、それぞれ71%、72%となっている。
ラトビアのOskars Spurdzins財務相が高インフレを背景にラトビア政府は08年度の通貨統合目標を諦め、新たな目標を設定することになると示唆している。
同相は、通貨統合規則にあるインフレ率に関し、現状の6.1%の高インフレを半年以内に2%台まで引き下げることは非現実的だとして、目標を変更することは明確だと語っている。
06年4月期のラトビアのインフレ率は6.1%を記録しており、通貨統合に必要とされる2.6%のインフレ率達成には、極めて難しいことが明らかになっていた。
同相によると、ラトビア政府は既に目標期日の変更に着手しており、インフレ抑制政策にも取り掛かるという。中央銀行であるラトビア銀行では、政府の支出を1%削減すれば、インフレ率は0.4%低下すると試算している。
リトアニアの財務省は23日、ユーロへの通貨統合時期を改めて今年度末の時点で見定める予定であることを示唆している。
Algirdas Brazauskas首相は、私見としながらもリトアニアの通貨統合は09年以降になるという見通しを示唆しており、中央銀行総裁であるReinoldijus Sarkinasの見通しでは、この夏のEU当局の最終判断を待って今後の日程などを見極めるべきだと主張している。
財務省では、リトアニア政府と欧州委員会の共同で勉強会を立上げ、通貨統合への道筋を如何につけるかを模索したいと同委員会に提言を行っていると言い、インフレを如何に管理するかを模索することを決めている。