アメリカのシティグループがエストニア、ラトビア、リトアニアの06年度経済成長率を平均で8.8%と予測した。
同様のレポートを発表しているブルームバーグでも今年のラトビア経済を9.5%成長とバルト3国中最も高い経済成長率を記録すると予測しており、エストニア経済についても9.4%と高い経済成長を予測している。3国中、最も低い予測となったリトアニア経済でも7.9%と高い経済成長が予測されている。
シティーグループの経済予測ではバルト3国の経済成長率は最低でも8.3%と予測しており、インフレ率も平均4.6%と各国とも高い物価上昇が予測されている。
バルト3国各国は欧州連合の中でも最も高い経済成長を続けており、高度経済成長と高インフレのジレンマに陥っていることで、ユーロへの通貨統合時期を延期せざる得ない状態が続いている。
しかしながら、07年度にはバルト3国の中でも経済成長の優劣が鮮明となり始め、ラトビアの経済成長率は5.5%まで落ち込むと予測される一方で、リトアニアやエストニアではそれぞれ7%、8%と引き続き高度経済成長が続くと見られている。
インフレ観測では、エストニアの今年度のインフレ率は4.8%と予測され、07年度には2.3%まで下落すると見られている。ラトビアのインフレ率は今年が6.4%で、来年度は2.6%と予測されている。
また、通貨統合に失敗したリトアニアでは、今年のインフレ率は3.4%と予測されており、来年度には2.7%まで低下すると見られている。
エストニアで超大型車で有名なハマー(Hummer)が50台も売れ、人口当たりの購入台数でアメリカに次ぐ販売台数となっている。
エストニアでは人口10万人あたり1.3台の販売台数で、ラトビアの0.7台、リトアニアの0.2台を大きく上回っている。本場アメリカでは10万人あたり7.5人が保有している。
ハマーを保有するエストニアの著名人にはKalevの会長且つオーナーでもあるOliver Kruuda氏を代表に、Tivoli Tuur代表のLauri Viikna氏、前タリン市長のTonis Palts氏などがいる。
エストニアでのハマーの販売価格は、標準モデルで140万EEKで販売されている。エストニアでハマーを取り扱うPremium Motorsの05年度の売上げは5450万EEKとなり、収益は380万EEKを計上した。
賃金上昇、不動産ブーム、低金利の3つがエストニア経済の発展のキーポイントになっている。
平均賃金はこの5年間に急速に上昇し、昨年は平均賃金が約16%の上昇を記録した。高い可処分所得と低金利により、エストニアでは自動車や住宅といった高額商品の購入が急速に伸びている。
好景気に沸くエストニア経済で最大の懸念材料は人材不足が顕著になってきており、今後の経済成長の足を引っ張ることと見られている。
現在、エストニア人1人あたりの平均借り入れは4万1000EEKに上っており、06年第1四半期には、市民の総借入残高は550億EEKに達している。
統計庁によると、この第1四半期の平均不動産取引額は100万EEKを上回り、契約件数は1万6000件を超えた。契約総額も156億EEKに達し、昨年同期からは契約件数で30%増、そして金額では2倍増にまで膨れ上がっている。
07年度の通貨統合に失敗したリトアニアでは、失望売りとも見られるマンション価格の下落が始まった。
これまでリトアニアの不動産価格は通貨統合期待から急激に価格が上昇してきたが、通貨統合が延期される見通しが強まったことで住宅価格が下落し始め、今後も統合時期がいつ頃になるかによって、より下落傾向が強まると見られている。
この5月の首都ヴィルニスの中古マンション価格は平均して0.4%の下落となり、ここ最近では初の値下がりが記録された。その他の都市では、カウナス(Kaunas)3.4%、クライペダ(Klaipeda)5.2%、シャウレイ(Siauliai)2.3%などの下落を記録している。
通貨統合が延期されることが有力となったことで、クライペダの中古マンション価格はこれまで20万LTLから25万LTLで販売されていたものが、平均して1万LTLの値下げが行われている。
統計庁によると、06年第1四半期のGDP成長率が11.6%を記録した。これにより第1四半期の経済成長率は欧州連合加盟諸国中で最高を記録したことになる。
1991年に旧ソ連から独立を果たしたエストニアは、2004年5月以降、毎四半期のGDP成長率は最低でも6.6%を記録している。輸出が急速に伸び、国内経済も急速に拡大するといった相乗効果により、現在、エストニア経済は高度経済成長期に入りつつある。
経済成長とともに賃金水準も伸びており、業種を問わず、給与は急速に確実に伸びている。