エストニアのユーロ統合が改めて1年の延期とされたことで銀行業界では各種の取り扱い費用を値下げする必要がなくなり、収益源が確保されたことで安堵のため息をついている。
統合延期により、銀行界では今後も欧州でも高めに設定されているサービス料金からの収益が数百万EEKも確保されることになる。
国内大手のNordeaでは海外送金にネットバンクを利用した場合にも300EEKを取っており、EUPaymentと呼ばれるサービスでは30EEK、国内振込みでも26EEKであることからも極端に高い費用を徴収している。
EU規則では、欧州内の銀行は海外および国内の送金費用は同様の金額にする必要が指摘されている。
欧州一高いサービス費用を徴収するエストニアでは、収益の多くをこの収益源に頼っているとされ、低金利からの収益減を補っているとの声も大きいとされている。
昨年、エストニアの銀行業界では31億EEKの収益を挙げており、その半数以上を金利収入から計上している。
ラトビア内閣が所得税を段階的に削減し、現在の25%から最終的には15%にまで引き下げる法案を可決した。
承認された減税案は、先ず07年度に現行の25%を22%にまで引き下げ、08年度19%、09年度15%と徐々に引き下げることになる。
財務省による試算では、もし今回の法案が施行された場合、減税率3%で税収は8000万ラトの減収に繋がると見積もられている。政府による減税案の実行には、事業者に対する賃金の引き上げや実質賃金に対する納税意識といった概念を即す期待が込められている。
また、財務省では今回の減税案で07年度の歳入は、結果的に12.7%の増収を生み、08年09年にはそれぞれ11.7%、11.3%の歳入増を試算している。
エストニア統計局によると、05年度の平均月給は8073EEKにまで到達し、時給計算でも47.42EEKにまで上昇している。
04年度との比較では、平均月給は10.8%の上昇となり、時給でも11.4%の上昇といった二桁増を記録している。
昨年度は、福祉関連従事者の給与が21.1%の上昇となった一方、最低の昇給率となった鉱山従事者で0.5%の昇給に留まった。
首都タリンの標準的なマンションの1平方メートルあたりの平均価格がこの第一四半期に8%上昇し、2万3400EEKで取引されている。
05年第1四半期以来、マンション価格は既に45%以上の値上がりを記録し、タリン市中心部の1平方メートルあたりの価格は30400EEKで、次いでクリスティン地区が2万4100EEKとマンション価格が市民の手には届かなくなり始めいる。
06年第1四半期の平均月給が19%上昇し、過去8年間で最高の伸びを示している。
好調な経済を背景に賃金水準は引き続き上昇速度を維持すると見られ、就労機会も安定し、物価上昇や外国からの労働者の流入も十分支えられる景気動向が続くと経済の拡大に期待感が高まっている。
この第1四半期の平均総賃金は19.2%上昇した269ラト(383ユーロ)となっている。同期のインフレ率は7%であったが、それを十分に上回る賃金上昇を国民全てが享受していることになる。
隣国のリトアニアの平均総賃金も13%の上昇し、同じくエストニアでも16%と高い伸びを記録している。
エストニアとリトアニアの平均総賃金は、それぞれ549ユーロと417ユーロとなっている。
賃金上昇が急激に進むラトビアの賃金は、EU平均に達するまで今後も継続して上昇カーブを上げていくと見られている。