英格付け大手のフィッチ(Fitch)がバルト3国経済が急激な成長、高インフレ、対外債務の急増で加熱しすぎていると懸念を表明した。
経常赤字の拡大、高インフレ、外貨建て債務の急増が好調を続けるバルト3国経済に大きな問題を発生させる可能性を秘めているとし、場合によっては格付けを引き下げることもあり得るとフィッチが示唆している。
フィッチが発表したレポート『Risks Rising in the Baltic States?』によると、バルト3国の経済成長は、2004年のEU加盟以来、低金利により外国からの直接投資を増大させたことが大きいという。
また、インフレに苦しむ3国の内、ラトビアは最も高インフレに苦しんでおり、この1月も7.1%成長となり、EU域内最高インフレを記録している。
同レポートでは、インフレ圧力や収支バランスの不均衡、与信の欠如、遠のくユーロ導入時期などが経済環境の変化を生み、金融危機を生む下地が出来ることを懸念しているという。
また、同レポートでは、最大の懸念は経済成長を支えた住宅ローンの急拡大にあるとし、不動産価格は、リトアニアの首都ヴィルニスで1平米あたりの価格がコペンハーゲン、ストックホルム、ベルリンなどを上回る水準に既に達し、ラトビアのリガでも同様にウィーン、フランクフルトなどを上回る高水準にあると異常な価格が創生されていることを危惧している。
経済環境は、ラトビアが3国中最も懸念域にあり、昨年1年間に経常赤字は05年度から13%増加したGDP比22%にまで悪化している。
エストニア統計局は07年2月期の消費者物価指数が前年同期比で4.7%の上昇となったことを発表した。
商品価格とサービス価格はそれぞれ平均して4.7%上昇し、管理価格で1%、非管理価格で5.9%の上昇となった。
ラトビア政府が経済懸念を払拭するために漸く34のインフレ対策行動計画をを承認し、2011年までにインフレ率を2.25%まで引き下げる目標を発表した。
ラトビア政府は、インフレ対策の他、議会に貸し出し及び不動産に関する法律の改定も承認することを求めている。改定案には、高級乗用車にも別途課税することや3〜4年後に財政を黒字化することなどが盛り込まれている。
同計画では、短期目標として、不動産市場の投機活動の阻止、高級乗用車の急増対策、与信の厳格化などから取り組んでいくという。
また、各省庁は2008年度予算に向けて支出を1〜3%削減し、2009年からは黒字を生む体質の確立を求められている。
同計画には、公務員給与にもメスを入れており、昇給への規制を導入し、国家公務員給与は現状維持に留めることを盛り込んでいる。
今回の行動計画には、個人の所得税にも言及しており、購入後3年以内の売却は利益に所得税が課せられる。その他にも、不動産購入時の登記費用も値上げされることになり、複数の登記を行う場合にはより多額の費用が課されるという。
銀行へも不動産購入者へ融資を行う場合には、その条件として合法的な所得が十分あることの証明確認と最低限の預貯金を確認することを求め、不動産購入者へは住宅ローン申請時に、銀行へ税務署からの所得証明書類を提出することを義務化する。
商業地、工業地などへの不動産投資からの収益率が過去数年の間に大きく減少しているという。
2006年度の収益性は、2005年から1%減少し、現在は6%程度にあると世界で著名な不動産会社Colliers Internationalのリトアニア支社が発表した。
収益性の低下は、魅力的な施設を完備した物件が不足していることに関連しているとう。しかしながら、依然外国からのバルト3国への不動産投資は人気が高く、市場は安定を維持するとの見通しに言及している。
高収益を求める投資家等は、ベラルーシの不動産市場に流入し始め、ベラルーシの不動産市場は丁度10年〜15年前のリトアニアの市場に似ているという。
商業銀行で国内上位5位に入るSnorasが今年の収益目標を昨年期比で54%増の8000万リタスとしている。
06年度は、05年度と比較して、27%増の5200万リタスの収益を計上した。同行資産は28%増加した42億リタスに達し、今年さらに35%増の57億リタスを目指している。