エストニア最大の不動産開発会社であるArco Varaがタリン証券市場への株式公開を進めている中、市場関係者間で賛否を呼んでいる。
証券仲介業界では、新たな企業の株式公開は証券市場を活性化すると前向きな声もあるが、また一方では、同業で国内最大の建設会社、且つ、既に株式公開を果たしているMerko Ehitusのようには行かないのではと意見が二つに割れている。
証券会社傘下の資産運用会社Suprema Asset Managementでストラテジストを勤めるPeeter Koppel氏は、Merkoの成功は、あくまでも国内の不動産開発ブーム時に上手く株式公開を果たしたことにあると分析する。
国内IT産業で大手にあるAS Helmesがウレミステシティ(Ulemiste City)との間でウレミステ開発団地(Ulemiste Innovation Park)に本社機能を移す契約に署名した。
これによりHelmesは2000平米のオフィスに移動することになる。同じオフィス棟にはIT大手のWebmediaもオフィスを構え、近くにはバルト3国最大のIT企業Microlinkも居を構えている。
Helmesはエストニア最大のソフト開発会社で、06年度の売上げ高は1億4000万クローンに上っている。
バルト3国最大の銀行グループであるハンサバンク・グループ(Hansabank Group)を傘下に置くスウェーデンのスウェドバンク(Swedbank)代表であるJan Liden氏が、もしバルト3国経済がリセッション(景気後退)に入ったとしても同行としては既に準備は整っていると強気の発言を発している。
Liden氏は、スウェーデンのビジネスニュースサイトwww.do.seの中でバルト3国の経済危機の懸念が拡がっている事に関して、いくつかのシナリオを持って準備を進めていると言及している。
スウェドバンクは、バルト3国全体の銀行市場で13%のシェアを確保している。Liden氏によると、スウェドバンクとしては、ラトビアの高インフレ、経常赤字及び貿易赤字の急拡大に最も懸念を示している。
これまでに格付けで世界3大大手であるスタンダード&プアーズ、ムーディーズ、フィッチの全てが最新号のレポートの中で『もしバルト3国政府が経済成長の減速を止められないのであれば、経済危機を引き起こす可能性がある』と警鐘を鳴らしている。
世界第3位の巨大港湾運営会社DP Worldがバルト3国の何れかに投資する意向であるとブルームバーグが伝えている。
現在のところ、どの国のどの港になるかは未定だが、近い将来にドバイ籍のDP Worldが選定に入ると見られている。
DP World社のMohammed Sharaf氏によると、同社の企業方針では、どの地域でも独自の港湾網の構築を目指しており、バルト地域の急成長を鑑み、早急に進出を目指すとしている。
Sharaf氏は、可能性としてエストニアか隣国のいずれかに東バルト地区の拠点を設ける意向であることを示唆している。
DP World社は、世界30カ国に50の港湾施設を展開している。同社の株主はドバイ首長国(Emirate of Dubai;アラブ首長国連邦の一つ)で、昨年英Peninsular & Oriental Steam Navigation Co.を68億ドルで買収している。
格付け大手のムーディーズがリトアニア、ラトビア、エストニア、ルーマニア、ブルガリアに対して経済危機に対して脆弱な政策となっていることを危惧している。
同社によると、巨額な経常赤字(CAD)がGDP比で10%を超えるこれらの国で懸念域にあるとしリトアニアのそれは実際にGDP(06年度)の11.5%に到達している。
また、同社は各国のインフレ対策は限定的な効果しか上げられないとの見通しを示しており、現状では経済危機を引き起こす懸念が存在するとしている。
同社が発表した最新レポートでは、アジア危機では多くの資産がただ同然で売却された経験があり、危機回避に向けてバルト3国も現状の固定通貨(ペッグ制)の見直しを急ぐことを請求している。
しかしながら、全てにおいて危惧する必要は無いが、ポルトガルで上手く行った低成長政策(ポルトガル・シンドローム)により加熱経済の是正は最も参考になると示唆している。
ポルトガル・シンドロームとは、長期的な政策として、『生産性の強化を狙った構造改革による競争力の復活』というもので、同政策がポルトガル経済の安定を齎している。