スウェーデンの大手銀行SEBが07年度中にこの10年間で最高のインフレ率をリトアニアが記録するという見通しを示唆している。
同行によると、リトアニアのGDPは減退し始め、経済のファンダメンタルズも変更を余儀なくされることになるという。
同行では、リトアニア経済は既にピークに達し、07年〜08年度にかけて減速傾向を強めると見ている。輸出高は、輸入高が急拡大を続ける一方で減少すると予測されている。
金利上昇、与信の悪化などが国内消費を覚ますことになると同行の最新レポートの中で紹介している。
これらの変化は徐々に進められるとの見通しを示しており、急激な経済の大減速は発生しないとの見通しについても言及している。
今年、インフレ率は過去10年で最高となる4%もしくはそれ以上を記録すると見られ、物価は高騰する天然ガス、暖房、電力などの価格上昇やタバコへの課税、人件費の上昇などがインフレに油を注ぐという。
日刊紙ポスティメス(Postimees)が金融関係者に行ったインタビューとしてエストアに懸念される経済危機について紹介している。
この金融関係者はこのインタビューの中で、『エストニア政府は危険なゲームを遊んでいる。世界的に著名な全ての財務格付け会社が最新レポートの中でバルト3国経済の危険性を説いているのにも関らず、中央政府及びAndrus Ansip首相は何もそれに対策を講じようとしていない』と強烈に政府の姿勢を弾じ、ラトビアが政府主導でインフレ及び生産性拡大のアクションプランを早々に纏めたことと比較して、エストニアの動きの悪さを批評している。
また、会計監査及びコンサル大手のアーネスト&ヤング(Ernst & Young)のパートナーであるHanno Lindpere氏は、エストニア経済は近い将来、減速することは確かだが、問題はいつそれがどういう形で現れるかであり、如何に問題の悪化を回避日させるかが大切だとポスティメスのコラムで私見を述べている。
同氏は、前回、1997年にエストニアに経済危機が襲ったときは、過剰投資となった株ブームの大暴落がきっかけとなり、多くの資産があっという間に吹き飛んだと、経済環境の変化に危惧していることを示唆している。
エストニア財務省は、同省が行った最新の聞き取り調査の結果として、エストニアは今後2年の内、2009年にはリセションに入り、多くの企業が破綻することになるとの衝撃的な内容を公表している。
財務省経済研究局のAndrus Saalik局長は、リセッションにより企業破綻、失業増、賃金の減少、物価調整、金利の見直しなどが起こる可能性を示唆している。
アナリスト等は、経済危機の指標として、不動産会社が破綻を始めたときが最も危険なときに突入することになると予測している。
昨年、首都タリン市内で売りに出されたマンションで最も高値が付けられていた物件は平米34万クローン(約340万円)であった。
エストニア国土地理院(Land Board)によると、昨年最も安い価格で販売されたマンションは、ラスナマエにあるマンションで、1平米974クローンであった。これにより最も高い物件と安い物件との間で350倍の差があったことが明らかになった。
昨年1年間にタリン市内で売買されたマンション戸数は1万2000戸を上回っており、広さ平均は55.4平米、平米平均2万2200クローンで取引された。
エストニアの財務省が07年度の経済成長見通しを8.2%と予測している。同省では、今年のインフレ率も4.9%と予測し、来年度も5.2%まで上昇すると見通しを21日発表した。
国内経済の成長は、今年は減少することが示唆される国内消費、輸出の両輪が依然牽引することには変化がないという。高インフレは、賃金上昇と就労者不足が足を引っ張り、上昇傾向が続く見通し。
バルト3国最大の金融グループ ハンサバンク・グループ(Hansabanka Group)のErkki Raasuke頭取がユーロ導入への期日設定が決まらないことに苛立っている。
Raasuke氏は、日刊紙アリパエブのインタビューに対し、新連立政権がユーロ導入時期の策定に入らないことに苛立ちを示している。
同氏曰く、自身の経験から、『期日設定しないものは実現しない』と現政権に不満を漏らし、2010年から2011年に導入が達成できるのではないかとの自身の見通しに言及している。
尚、高インフレに苦しむエストニアでは、当初の期待から既に34ヶ月もユーロ導入が先延ばしさせられている。