ロシアの経済規模がアメリカやドイツなの規模に10年程度で追いつくことが出来ると露財務大臣が24日示唆している。
クドリン財務相は24日のテレビ番組内で、ロシアは、アメリカやドイツなどに匹敵するような経済、金融システムを創生していくと語り、10年後にはそれは達成されるとロシアの将来性に自信を持っていることに言及した。
ロシア下院では22日に07年度の連邦予算を政府支出を25%増加させた5兆4600億ルーブル(2050億ドル)として承認しており、財政黒字は1兆5000万ルーブル(550億ドル)を見込んでいる。
大手銀行一つであるスベルバンク(Sberbank)は22日、06年1-8月期の収益が46.4%増加した612億ルーブル(23億ドル)となったことを発表した。
税引き前収益は39.7%増の764億ルーブル(28億5000万ドル)であった。銀行資本は9月までに3225億ルーブル(120億5000万ドル)と年初から26.8%の増加を記録し、国内で融資残高トップとなる融資残高では9月1日の時点で2兆2690億ルーブル(847億6000万ドル)に達した。
同行の預かり資産は、個人預金では1兆7690億ルーブル(660億8000万ドル)となり、法人預金でも7591億ルーブル(283億6000万ドル)を預かっている。
ロシア中央銀行が株式の60.57%を保有していることから市民からの支持も高いことが窺える。
イギリス最大の銀行HSBCがロシアでリテール業務を始めることを模索している。
世界トップ5の一角HSBCは今秋にもロシアでのリテールを始めるためChris Barry氏をリテールのトップに据える人事を行った。
45歳になるBarry氏は28年ものリテール業務経験があり、今回のモスクワの前にはサウジアラビアでリテール部門を率いていた。
同氏は、モスクワに着任するや否やリテールの事業内容として貸出や住宅ローンなどのフルサービスを提供する予定であることを示唆している。
ロシアでは、一般的に全土に支店網をめぐらすには少なくとも3年はかかり、事業拡大を急ぐ場合には、実際には既存の銀行を買収することが最も手っ取り早いと見られている。
最近では、ロシアでリテールを始めたオーストリアのライファイセン銀行とハンガリーのOTP銀行の2行はそれぞれImpexbankとInvestsberbankを買収し、その支店網の充実を図っている。
今後数年の内にロシア市民の個人資産が世界でも最も拡大することになると米ボストンコンサルティングがレポートの中で紹介している。
同レポートでは、ロシア市民の資産は、石油ガス輸出などから急激に現金収入が伸び、株価の上昇や他の金融資産の拡大により2010年までに12%の増加が見込まれると分析されている。
同レポートの中で、BRICsの一員であるインドでは個人資産額が13%増加し、中国11%、ブラジル6%の拡大がそれぞれ予測されている。
05年単独でロシア市民の資産総額は5580億ドルにまで拡大したが、アメリカの31兆ドル、日本の12兆ドルなどと比べてもまだまだ拡大の余地が大きい状態にある。
石油ガス関連事業者の大富豪化をよそに一般的なロシア人の賃金水準は平均1万900ルーブル(407ドル)程度に過ぎず、貧富の差はますます拡大する傾向にある。
余剰資金を十分に蓄えている携帯電話大手のメガフォン(MegaFon)に株式公開の計画は取敢えず無いようだ。
Raymond Ho財務副部長は、同社株主は10億ドル以上の十分な資金を保有しており、同社が必要とする資金を賄うのは全く問題ではないとして、同社のIPOの可能性を否定している。
メガフォンでは、既に欧州復興開発銀行及び国際金融公社から得ていた与信枠を7月末にキャンセルしている。しかしながら、一方で同社は、国内で低金利でルーブル建ての借入れが出来る財務内容であることから、8月に110億ルーブル(4億1100万ドル)の資金調達に成功している。
また、同部長は、メガフォンでは来年度の投資額を今年の12億ドルから15%から最大20%削減する意向であることも示唆している。
投資規模を削減することや急拡大するロシア、CIS諸国での事業活動から収支は安定すると見られることから、新たな借入れは必要ないという同社のスタンスが徐々に鮮明になりつつある。