高いインフレ率が襲っているバルト3国ではユーロ導入に必要とされるインフレ率制限を相変わらず大きく上回っていることからユーロの導入は今後10年は難しいという声が挙がっている。
リトアニアのインフレ率は5.5%にまで駆け上がり、過去9年間で最高の水準まで上昇している。そしてラトビアでもインフレ率はEU内で最高値となる10.1%を記録する。エストニアに関しては、漸く下降する兆候が見られ始め5.7%にまで低下した。
04年にEUに加盟を果たしたバルト3国では元々どの同時加盟諸国よりも早くユーロ導入を遂げることを目指してきたが、導入基準とされるインフレ率を大きく上回る状態が続いている事でスロベニアに先を行かれ、そして今、スロバキアにも追い越されようとしている。
バルト3国では、エネルギー価格の上昇が大きく足を引く状態にあリ、この状況は今後も継続することが確かとなっている。
最大の天然ガス提供企業である露OAO Gazpromでは、バルト3国向けのガス価格を来年度から他EU諸国の水準まで引き上げる事を計画しており、高インフレに苦しむバルト3国をより苦しめることになる。ガスの引き上げは、60%近くになると見られている。
先の見えないエネルギー価格の引き上げにより、インフレ傾向は落ち着くことはないと見られることから、ユーロ導入基準とされる2%強のインフレ率目標は当分達成することは不可能となっている。
タリン市政府がヴィルホテルを所有するフィンランド企業へ新たな妥協案を提案しているという。
タリン市ではヴィルホテル側が計画していた17階建ての新ビル拡張計画を諦めることを条件にタリンバスセンター近くの土地1132平方メートルを代替提供すると提案している。
Taavi Aasタリン副市長は、ホテル側と話し合いをもったことを認め、提供提案している土地(更地)には最高9階建ての建物を建設することが出来ると詳細を明かしている。
ヴィルホテルでは、過去2年間の間、タリン市政府との間でヴィルホテル横に約8000平方メートルのフロアスペースを占める17階建ての新ビルの建設計画に関し、全面対決を続けてきた。
ホテルを傘下に置くPontos OyのYrjö Vanhanen代表は、これまでの市政府の対応によりホテルとしては数百万クローンの損失を抱えたと市政府の取組みに怒りの声を上げている。
不動産会社Ober Hausによると、8月の新築マンションの平均価格に大きな変化はないようだが、購入需要は減少しているようだ。
新規マンション建築計画20件を元に同社が調査を行ったという。20件の詳細は、11件がリガ、8件がリガ区、1件がOgreとなっている。
同社によると、現在、マンションの購入計画をしていた投資家等は特に1年前から2年前に建設計画段階で購入を決めた者が多く、銀行によるローン申請を却下されるパターンが増えているという。
ローンの取得が出来なくなった投資家等は、購入予約時点に10〜15%の手付金を入れているが、マンション購入資金の手配が出来ないことで手付金丸丸が戻ってこないといった問題が出始めている。
これらの購入者では、マンションが完工する前にマンションを転売するしか手付金を取り戻す手段はないが、急いで転売するには損失覚悟で値下げして売りに出すものも多いが、不動産開発業者自身が値下げしない為、一方的に購入者だけが損失を被るといった状況に置かれている。
建設業者等も建設費の借入れを却下されることも増えており、今後不動産業界では冬の時代が到来することを懸念する声が挙がっている。
銀行業界では融資決定にセンシティブになっており、ローン申請者には住宅購入に十分な所得があることを求めている。
マンション購入には、最低月収は1000ラトとしている。ラトビアのサラリー水準は急速な伸びを記録しているが、平均月収は399ラト(07年第2四半期)に過ぎず、高騰した不動産を購入する為のローンの申請には大きく所得が乖離している。
現在の不動産市場は下落することが期待されているが、それでもローンを得るための所得が増えない限り、住宅ローン取得は高嶺の花には違いない。
07年1-8月期にリトアニアの中堅大手銀行のUkio Bankasが昨年同期比で2.5倍増となる6130万リタス(会計監査前)の収益を計上している。
同行では、これまでの好業績を背景に収益見通しを上昇し、07年度の収益は当初の6140万リタスから8200万リタスになると上昇修正をかけている。