エストニア、ラトビア、リトアニアの経済成長に限りが出始め、これらの新興国経済への懸念が低下していると大手金融グループUniCredit Groupが示唆している。
同グループでは、四半期レポートの中でラトビア及びリトアニア経済が過去数ヶ月間で鈍化したと見ており、経済危機懸念は着実に減退していると分析した。
中東欧で最も経済成長が順調であったバルト3国では、好景気を背景とした高インフレによりユーロの導入を延期せざる得ないでこの3年間を過ごしてきた。
借入増によって牽引されてきた経済も経済危機懸念が指摘される度にバルト3国の何処の国も経済見通しがネガティブへと下方修正され、また、経常赤字の拡大も相まって、経済そのもののハードランキングもある得るとの懸念を抱く声が上がっていた。
ただし、このところの世界経済の環境変化を踏まえ、実際にまだリトアニアのソフトランディングが始まったとは確認できず、そしてラトビアはハードランキングそのものの懸念が拭い去られたわけでもないとその懸念材料がまだまだ随所に見られると安心するにはまだ早いとの所見にも言及している。
エストニアに関しては、08年度の経済成長は6.7%にまで低下し、09年度も6.4%成長とこれまでの高成長の半数止まりになると見られている。一方でインフレ率は、来年平均7%の水準まで上昇すると指摘されている。
ラトビアのValdis Zatlers大統領が高インフレに苦しむラトビアで、今国民の協力を得てインフレ対策をしなくてはならないとして預貯金を増やして、何とかインフレを抑制したいと訴えている。
同大統領は、このままで行けば、08年度にはエネルギー価格や食料品価格の高騰からインフレ率は14〜15%に達するとインフレが危険域に入ることを示唆している。
10月1日のテレビ番組『900 Seconds』に出演した大統領は、市民等に支出を抑え貯金を増やすように訴え、皆でインフレを抑制する努力をすることを呼びかけた。
リトアニアの大手医薬品メーカーSanitasが現状ではポーランドのワルシャワ証券取引所への上場計画には興味はあるものの、計画そのものはないと示唆している。
同社によると、社内で実際にワルシャワ証取への上場について協議を行ったことは認めるが、実際に上場させるにはまだまだ多くの事をクリアしていく必要があり、現状では上場しないとの見通しを示している。
Sanitasは、この7月に機関投資家等との会合で、スロバキア、ポーランド、リトアニア国内だけに留まらず、中東欧でも新たな買収先を模索する意向に言及しており、その資金調達手段として外国の証券市場への上場が噂されていた。
10月初めからリガ市民はこれまでより28%も値上がりした暖房費を支払わなくてはならない。
この8月にPublic Service Regulation Departmentがリガの暖房会社Rigas siltumsに対して、VATを除いて、1時間あたりの暖房費を27.48ラト/メガワットあたりまで引き上げることを承認したことで暖房費の値上がりが行われることになった。
値上げの背景は、ガス料金の値上がりがある。既にラトビアガス(Latvijas gaze)ではこの5月から一般向けの料金を17%値上げており、大量消費先には33〜33.9%の値上げを実施している。
今回大幅値上げとなったが、08年度は更にガス料金の値上げがあると予測されており、市民の負担はますます増えることになる。
来年度のガス料金は30〜40%の値上げが予測され、これにより、暖房費は最低でも更に20%の値上げがあると見られている。
住宅ローン借入で金利が年率7%程度で留まるようであれば、融資期間25年ものの住宅ローンは、200億クローン(約2100億円)から250億クローン(約2700億円弱)までなら今の経済環境が続けば許容できるという見方をハンサバンクが示唆している。
ハンサバンクが行ったエストニア人の借入能力調査の結果を地元紙アリパエブが紹介している。
同調査によると、現在の融資決定の流れを踏まえると、200億から250億クローンはあと19ヶ月も経たずに融資されることになるだろうと市民の借入能力は今でも十分有していると分析されている。
しかしながら、同行では、担当者に対して、融資の決定は以前より時間をかけてゆっくり決めるように指示が出ているという。