ロシア国内最大の銀行Sberbankが07年1月1日付けで893億ルーブルの収益を06年度に計上したことを29日発表した。
同行では、05年度に629億ルーブルの利益を上げており、06年度に42%の収益増を果たした格好になる。
ロシア最大の銀行VTB(Vneshtorgbank)のAndrei Kostin会長がルネッサンス・キャピタル(Renaissance Capital)とトロイカ・ダイアログ(Troika Dialog)の両投資会社との間で買収協議を行っていることを示唆している。
両社とも買収提案に関し、米リーマン・ブラザーズ及び米JPモルガン・チェースと協議しているという。
ルネッサンス社のStephen Jennings代表は、同社を売りに出すことはないとコメントを出しているが、内部情報では最大株式の25%を売却する可能性があるという。
トロイカ社はルネッサンス社よりも売却の可能性が高いと見られるが、同社の組織構成上、現実的ではないとの見方もある。同社の組織形態は、社員のメンバー制で稀な経営組織をしている。
ただし、もし買収協議が深まったとしても次には買収額が問題となる。トロイカ社の企業価値は25億から30億ドルと見られている。しかしながら、一部では資産価値は現実の所5億から8億ドルでブランド価値は2億から5億ドル程度との声もある。
ルネッサンス社にしても、企業価値は40億ドルと試算されている。
企業価値的にはルネッサンス社の方がトロイカ社よりも高いという市場判断が出ていることになる。
この初夏にも計画されるVTBのIPOでは、株式60%の放出で45億8000万ドルを調達すると見られている。IPOが上手く行けばトロイカ社でもルネッサンス社でもどちらでも買収するのには十分な資金を獲得することになる。
昨年12月期の未払い分賃金が26.2%減少した41億5900万ルーブルとなったことを連邦統計局(Rosstat)が発表した。
07年1月1日時点で40万人が賃金の未払いがあることになる。
所属組織に十分な資金がないことで賃金の未払いが生まれていることになるが、未払い分は政府予算が9700万ルーブル削減されていることも影響している。
多くの地方政府が当初の予算付けを誤ったことで多くの組織で賃金未払いが発生している。
ガスプロムバンクの2006年度収益が05年度から1%増加した137億ルーブルとなった。
バランスシート上の利益は、185億ルーブルから1%増加した187億ルーブルで、銀行資産は66%増加の7243億ルーブル、資本は104%増の894億ルーブルであった。
法人向け融資残高は40%増の2880億ルーブルとなったほか、個人向け融資では122%増の211億ルーブルと大きく増加した。
同行はガスプロム傘下企業として1990年に創業しており、事業規模では中東欧でトップ5に入る大銀行のひとつ。株主構成は、ガスプロム41.7%、ガスファンド(Gazfund)49.9%となっている。
大手銀行VTB(旧Vneshtorgbank)がIPO時には最大25%の株式を放出する。IPOには米シティーバンク、米ゴールドマン・サックス、独ドイツ銀行が幹事となることが決まっており、IPOは07年5月を予定している。
グレフ経済相は、当初同行株の放出は小規模に留まると示唆してきた。放出株の最大50%はロシア国内で売却され、残りをロンドンなどの海外の証券市場に売りに出すという。
VTBはロシア最大の商業銀行で、資本金521億ルーブル(約20億ドル)となっている。現在、ロシア政府が株式の99.9%を保有しており、残りをGazexport、Sberbank、Energomashexport、Ingosstrakh、ロシア連邦商工会などが保有している。