初夏の頃からロシアでは、外資系ビールメーカーが独立系酒造所の買収に懸命で、特にオランダのハイネケン社では、夏季のシーズン前にロシア東部のビール市場を狙ってエカテリンブルグ(Yekaterinburg)にあるPatra酒造を買収した。
ハイネケンでは、Patra買収直後には、立て続けに東シベリアのイルクーツクにある酒造を買収し、ロシアでの市場シェアを10%まで引き上げることに成功した。
競合他社もハイネケンの動きを察し、バルチカ(Baltika)がクラスノヤルスク(Krasnoyarsk)の酒造を買収し、InBevではサンクトペデルブルグの酒造Tinkoffを1億6700万ユーロ(2億100万ドル)で買収した。これによりInBevのロシアでのシェアは16%まで拡大した。
現在ロシアのビール市場は毎年5%の成長を続けており、今年は5-7%の成長が見込まれている。外国企業がロシアのビール市場に躍起になっている背景は、長期的に見ても引き続き市場の拡大が見込め、世界的にも今後数年でロシアと中国で世界のビール消費の半数以上を占めると見られていることにある。
ロシアのビール市場を争う企業には、シェア20%と酒造18社を抱えるバルチカ、過去2年で急速にシェアを拡大したSUN Interbrew(InBev)、そして今年に入ってシェア獲得に励むハイネケンの3社がシェアの争奪戦を繰り広げている。
今後は、ダークホースと見られるSABMillerがシェアをどこまで獲得するかが注目されている。同社はロシアで東欧などのビールメーカーの商品をロシアで販売しているが、これから買収を仕掛けていくと見られている。